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2015年07月20日
介護・医療情報
【介護保険】全国マイケアプラン・ネットワークが厚労省に意見書を提出

2015年7月17日(金)、ケアプラン(介護サービス計画)の自発的な作成を目指す市民団体として、2001年から活動を続けている<全国マイケアプラン・ネットワーク>(代表:島村八重子)は厚労省に次期改正に向けての意見書を提出した。意見書は以下の通り。

(以下、原文ママ掲載)────────

分かりやすく簡素な仕組みに
~次期改正に向けた市民からの意見書~

全国マイケアプラン・ネットワーク(代表:島村八重子)はケアプラン(介護サービス計画)の自発的な作成を目指す市民団体として、2001年から活動を展開してきました。

介護保険制度は本来、①利用者には「自己決定・自己選択・自己責任・利用者主体」、②事業者には「民間活力の導入」、③利用しない市民には「互助・支え合いの精神」―という新しい原理原則を掲げ、財源(自己負担を除く)の50%は40歳以上の被保険者が納めた保険料、50%は国民が納めた税金という、負担と給付の関係が見える分かりやすい仕組みとして生まれたと理解しています。

施行当時の介護保険制度は、これにのっとった分かりやすい仕組みであり、だからこそ私たち市民は介護保険制度を「自分事」と受け止めることができました。当然、制度の見直しや報酬改定は常に原理原則に沿うべきです。

ただ、昨今の改正は報酬に例外規定を設けたり、新総合事業のように分かりづらい仕組みを導入したりするなど、原理原則から乖離する方向へ向かっていると思わざるを得ません。

2015年度改定においても報酬体系は複雑になりました。こうした方向は以下のような弊害を招くと考えており、私たちは市民置き去りの制度複雑化に危機感を覚えています。

① 介護保険制度への市民の関心を削ぐ
介護保険のエンドユーザーは利用者であり、将来の利用者予備軍である市民です。利用者の意識は大変大切なカギになります。国が「財源が足りない」と唱えて審議会を中心に策を練るだけでなく、利用者が仕組みを知って「賢い市民」に育ち、どのように利用すればいいのか、どのように負担すればいいかを考えなければ状況は良くはなりません。

現在、団塊の世代が第1号被保険者になったところであり、学習意欲の高いこの世代の人は本来、介護保険制度を理解しつつ、自己決定することにも意欲的なはずです。

ただ、現在の複雑な制度は意欲を削ぎます。このままでは、大元の制度が市民から遠い存在になり、サービスを使っても制度は他人事になります。

最初に「複雑」「難しい」と説明される制度で、一般の人は理解しようという気すら起きなくなります。一言で言えば、利用者は引いてしまうため、複雑化は市民として育つ機会を奪うことになります。

② 事業者と利用者の情報格差を広げる
事業者は経営という観点から一生懸命、制度を理解しようとし、事業を運営します。しかし、こうした状況では事業者と利用者の間には大変な情報格差が生まれます。

介護保険制度は本来、「利用者がサービスと事業者を選ぶ」という自己選択、自己決定を理念としていますが、情報格差が大きい状況では利用者は根拠を持って選ぶことができません。

そうした格差は、利用者が事業者を選択するよりも、事業者が利用者を選択するという状況を生みやすくなります。これでは制度の根本が揺らぐことになります。

③ 保険料、税金を負担する多くの国民、若い世代の納得感を削ぐ
介護保険サービスの恩恵に浴している人は500万人超と聞きます。家族や近親者まで加味しても制度の恩恵を受ける国民は全体から見ればごく一部です。

しかし、互助の仕組みで税金を負担しているのは国民であり、40歳以上の国民は保険料も負担しています。利用者負担も求められるため、財源は全て国民が負担しています。

複雑な制度では「支払った保険料や税金がどう使われているのか」が見えず、負担している側が「支えている」という実感や、負担に見合う納得感を持てないと考えます。

④ 制度の隙間が増す
制度には必ず隙間が生じます。利用者の状態が同じでも、人生や暮らし方、家族形態などで異なります。100人いれば100通り、500万人いれば500万通りの現場があります。

しかし、制度を細かくするほど生活や介護現場は切り刻まれ、隙間を埋めるために制度を細分化することは、さらなる隙間を生むことにつながります。

例えば、20分以上30分未満の訪問介護(身体介護)だけで現在、「夜間早朝」「深夜」「介護職員2人で対応」など24種類に分かれており、それぞれに加算減算が付けられています。こうした状況で隙間が生まれるのは当然のことと考えます。

その隙間を制度で埋めようとしても、さらに細かい隙間が生まれるだけになり、悪循環が生まれます。制度はあくまでもシンプルにしたうえで、裁量は現場に委ねればいいと考えます。

以上の課題を解消するため、制度を簡素にすべきと考えます。次の改正では、舵の向きを介護保険の原理原則に立ち返って、国民が理解できる制度を目指す方向に改めるべきです。このまま制度複雑化が止まらなければ、利用者・市民は取り残され、介護保険制度に対する国民の理解と信頼、参加は損なわれる結果になります。

それは介護保険が目指していた「自己決定・自己選択・自己責任・利用者主体」「互助・支え合いの精神」などの理念とは明らかに反します。今後、介護保険部会、介護給付費分科会等で議論が進められると思いますが、私たちはその経緯を見守りつつ、さらに具体的な提言をしていきたいと思っています。

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